あいち相続広場の野々山です。
「親の財産を安心して引き継ぎたい」「認知症になる前に不動産の名義変更をしたい」「成年後見制度より柔軟な方法は?」──このようなキーワードで検索をされた方に向けて、この記事では、今注目の【家族信託】について、わかりやすく詳しく解説します。
千葉県に住む55歳・会社員の長男が抱える、「母の認知症兆候」「実家の不動産管理の不安」「妹とのコミュニケーションの難しさ」「将来の生活設計への不安」など、リアルな悩みに寄り添いながら、家族信託という解決策を丁寧にお伝えしていきます。
この記事を読むことで、以下のことがわかります:
家族信託の仕組みと、成年後見制度・遺言との違い
家族信託を活用した不動産名義変更の流れ
家族信託のメリット・デメリット、失敗例から学ぶ注意点
家族信託を始めるステップと必要な準備
「今からでもできる親の財産管理・認知症対策」に興味がある方、
「兄弟とトラブルなく財産管理を進めたい」と考えている方、
そして「家族信託って難しそう…」と感じている方も、
ぜひ最後までご覧ください。
【前編】家族信託とは?基本の仕組みと成年後見制度との違い
家族信託とは何か?
家族信託(民事信託)とは、将来に備えて、信頼できる家族に財産の管理や処分を任せる仕組みです。法律上の信託制度を活用し、本人の判断能力が低下した場合でも、スムーズに財産管理や不動産処分ができるようにする制度です。
委託者:財産の持ち主(母)
受託者:財産を管理する人(55歳長男)
受益者:財産から利益を受ける人(母)
信託契約を結ぶことで、母が認知症になった後でも、長男が不動産の名義変更や売却、修繕、賃貸契約などを行うことができます。
成年後見制度との違い
成年後見制度は、本人の判断能力が低下したあとに家庭裁判所が後見人を選任し、財産管理を代行する制度です。家族信託と比較すると、以下の違いがあります:
比較項目 | 家族信託 | 成年後見制度 |
---|---|---|
開始時期 | 元気なうちに自分で契約できる | 判断能力が低下してから |
柔軟性 | 財産の使い方に自由度が高い | 裁判所の許可が必要な場面多数 |
家族の関与 | 委託者が受託者(家族)を指定可能 | 裁判所が後見人を選任 |
コスト | 初期費用は必要だが長期的に安定 | 月額報酬が継続して発生する可能性 |
終了タイミング | 契約で自由に設計可能 | 本人の死亡または解除 |
たとえば、55歳の長男が母の不動産を信託財産として受託者になれば、母が判断能力を失っても、長男が法的に管理・売却などの処分ができます。これは成年後見制度では困難なケースも多いのです。
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