あいち相続ひろばの野々山です。
「遺言書が見つかったけれど、どのように相続手続きを進めればよいのか分からない」「遺言書の内容に従って不動産や預貯金の名義を変更したい」と悩んでいませんか。相続手続は、遺言の有無によって進め方が大きく変わり、専門知識がないまま進めると手続きの遅れや相続トラブルにつながることがあります。
本記事では、遺言書がある場合の相続手続の具体的な流れをわかりやすく解説します。遺言の種類、必要書類、司法書士や税理士との連携方法、注意点まで網羅しています。この記事を読むことで、手続きをスムーズに進めるための知識が身につき、安心して相続手続を進めることができます。特に、50〜70代で実家や自宅を相続予定の方、初めて遺言書に関わる方に向けた内容です。
遺言書に従った不動産の名義変更は、相続手続の中でも重要な部分です。不動産登記が正確に行われていないと、売却や担保設定ができず、将来的にトラブルになることがあります。特に都市部の土地や建物は価値が高く、名義変更を怠ると相続人間の争いの原因にもなります。
必要書類の具体例
遺言書の原本(コピー不可)
被相続人の戸籍謄本、住民票除票
相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書
固定資産評価証明書(登記申請時の評価額確認用)
登記申請書(法務局提出用)
手続の流れ
遺言書の種類と内容を確認(自筆証書、公正証書など)
相続人を特定し、必要書類を揃える
登記申請書を作成
法務局に提出
登記完了通知を受け取り名義変更完了
ポイント
自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認が必要です。書類不備があると申請が受理されず、手続きが止まります。司法書士に依頼すると、書類作成から提出までスムーズです。
金融資産も遺言書に基づき名義変更を行います。遺言内容に従えば、相続人全員の同意なしで手続き可能です。
預貯金の場合
必要書類:遺言書原本、相続人の戸籍謄本、印鑑証明書
手続:金融機関窓口で提出
注意点:口座は凍結されますが、生活費の引き出しは相談可能です
具体例
500万円の預貯金を長男が相続する場合、長男の印鑑証明書と遺言書を提出するだけで手続き完了です。
有価証券・株式の場合
証券会社や銀行で手続き
遺言書提出で名義変更が完了
株式の場合、配当金の権利や株主総会出席資格も移転
注意点
名義変更に必要な書類を金融機関ごとに確認。証券会社によっては印鑑証明や相続届出書が追加で必要です。
遺産総額が基礎控除を超える場合、相続税の申告が必要です。基礎控除額は以下で計算されます。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
具体例
法定相続人が2人の場合:3,000万円 + 600万円×2 = 4,200万円
遺産総額が5,000万円の場合、800万円分が課税対象です。
申告の流れ
財産目録を作成(不動産・預貯金・有価証券・保険など)
遺言書に従った財産分割内容を確認
税理士と連携して申告書作成
税務署に提出(相続開始から10か月以内)
税理士連携のメリット
財産評価の計算が正確、控除や軽減措置を漏れなく適用、遺言書内容通りに申告書作成が可能です。
相続手続は、遺言書の確認から不動産登記、預貯金・証券の名義変更、相続税申告まで幅広く、多くの書類が必要です。初めて経験する方や高齢者にとって、書類不備や期限遅延、相続人間の認識違いなどのリスクがあります。
司法書士の役割:不動産登記申請、遺産分割協議書作成、手続全体サポート
税理士の役割:相続税申告、節税や特例活用、財産評価と申告書作成
連携の利点
書類不備を防ぎ手続きをスムーズ化、相続税や登記の手続きミスを回避、相続人間のトラブル予防が可能です。
遺言書の種類・内容を早めに確認
財産目録を作成して整理
相続人全員に遺言内容を共有
必要書類を事前に揃える
不明点は早めに司法書士・税理士に相談
これらの準備を行うことで、相続手続の滞りやトラブルを防ぎ、遺言書の内容に沿った安心な相続が可能となります。
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