あいち相続ひろばの野々山です。
「自宅を夫婦で共有名義にしているけれど、将来相続のときに問題になるのでは?」
そんな不安を感じて、このページをご覧になっている方も多いのではないでしょうか。
実際、不動産の共有名義は「安心」や「公平」を意図して選ばれる一方で、
相続手続や売却、建て替えの場面でトラブルを引き起こすことがあります。
本記事では、名古屋市で相続の相談を多く受けている専門家チームが、
共有名義の仕組みと隠れたリスク
実際によくあるトラブル事例
揉めないための名義整理・信託・贈与などの解決策
を、わかりやすく丁寧に解説します。
この記事を読むことで、
「共有名義をどう扱えば、相続手続をスムーズに進められるのか」
「どんな対策をしておけば家族が揉めないのか」
が、具体的にイメージできるようになります。
名古屋市緑区のAさん兄弟は、両親から実家を相続し、兄と妹で2分の1ずつの共有名義にしました。
ところが、妹が東京に嫁いでしまい、売却の話し合いが進まなくなりました。
妹は「実家には思い出があるから売りたくない」と主張し、
兄は維持費や固定資産税を払い続ける負担に悩まされる状況です。
原因分析
共有名義による意思決定の硬直化
感情的な対立が解決の妨げになった
この事例から、共有名義は感情的対立が起きやすく、売却自由度を奪うことがわかります。
名古屋市名東区の中村さん夫妻(仮名)は、夫50%・妻50%の共有名義で自宅を購入しました。
夫が他界した際、夫の持分を子ども2人と妻で相続することになり、
結果として自宅の半分を3人で共有することになりました。
相続登記も複雑になり、長男と長女が意見を合わせられず、
売却やリフォームなどの意思決定が困難になっています。
原因分析
夫婦共有が多重共有へと派生
子ども間で意見調整が難しくなる
相続手続が複雑化
このケースでは、共有名義が「相続後の管理・売却を阻害する構造」に変わってしまっています。
ある名古屋市内のケースでは、共有者の一人が認知症になり、意思確認ができなくなりました。
この場合、売却や名義変更には成年後見人の選任が必要となり、
家庭裁判所の許可や報告義務も伴うため、手続きが長期化し、柔軟な判断が困難になりました。
原因分析
共有者全員の同意が必須
判断能力低下による手続き停止
成年後見制度の利用が必要で時間・費用がかかる
この事例は、共有名義が認知症リスクや高齢化に伴う手続きの停滞に直結することを示しています。
これらの事例を整理すると、共有名義のトラブルには以下の共通点があります。
感情的対立
家への思い入れや相続の公平感で、話し合いがまとまらない
手続きの複雑化
相続登記、遺産分割協議、持分移動などが複雑化
法的制約
共有者全員の同意が必須で、成年後見制度の利用も必要になる場合がある
共有名義のトラブルは、多くの場合「相続が発生してから顕在化」します。
つまり、元気なうちに共有を解消しておくことが最大の予防策です。
後編では、具体的にどのように共有名義を解消・整理し、相続手続をスムーズにするかを解説します。
持分整理、家族信託、遺言書作成など、名古屋市内で実践可能な対策を紹介していきます。
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