あいち相続ひろばの野々山です。
ご家族が亡くなられた後、「相続手続をどう進めればいいのか」「司法書士に何を依頼できるのか」と悩まれる方は少なくありません。不動産の名義変更、戸籍収集、遺産分割協議書の作成など、専門的で煩雑な手続きが多く、自分で進めるのは大変です。特に2024年4月から相続登記が義務化されたことで、司法書士の役割に関心が高まっています。
この記事では、司法書士が担当できる相続手続の内容をわかりやすく整理し、弁護士や税理士との違い、依頼する際の費用や流れまで網羅的に解説します。この記事を読むことで、司法書士に依頼できる範囲や自分で準備すべきことが明確になり、安心して相続を進められるようになります。
相続手続をスムーズに進めたい方や、司法書士への依頼を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
相続手続に関わる専門家は複数存在し、それぞれに得意分野があります。しかし、初めて相続を経験する方にとって「誰に何を依頼すればよいのか」は非常に分かりにくいものです。
ここでは司法書士・弁護士・税理士の違いを整理し、司法書士が担える範囲と担えない範囲を明確にします。
司法書士は「登記」と「書類作成」のプロです。相続分野では以下のような業務が中心になります。
不動産の相続登記(名義変更)
戸籍収集・相続関係説明図の作成
遺産分割協議書の作成サポート
金融機関の名義変更や解約(遺産承継業務)
相続放棄や限定承認に関する家庭裁判所への申立書作成
ただし、司法書士は「代理人」として相続人同士のトラブルに介入することはできません。話し合いがまとまらない場合には、弁護士の関与が必要になります。
弁護士は「代理権」を持つ唯一の専門家で、相続人同士の紛争解決や調停・訴訟に対応できます。
具体的には次のような場面で弁護士が必要です。
遺産分割協議がまとまらず、調停や裁判に発展した場合
遺留分侵害額請求(相続分が侵害された際の請求)を行う場合
相続人同士の対立が深刻で、第三者による代理交渉が必要な場合
司法書士はあくまでも「円滑に手続きを進める専門家」であり、トラブル解決そのものを担うのは弁護士の役割です。
税理士は「税務の専門家」であり、相続税の申告や節税対策を担当します。相続財産が基礎控除を超える場合(例えば夫婦と子ども2人の家庭なら4800万円以上)には、税理士による相続税申告が必要です。
税理士の主な業務
相続税の計算と申告
贈与税・所得税の相談
節税対策の提案
司法書士は税務相談や申告業務を行うことはできません。そのため「相続登記+税務申告」が必要な場合には、司法書士と税理士の両方に依頼する必要があります。
司法書士の業務範囲を正しく理解しておくことも大切です。司法書士に依頼できない主な業務は以下の通りです。
相続人同士の代理交渉やトラブル解決
遺留分侵害額請求の代理
相続税の申告や税務相談
訴訟代理(簡易裁判所を超える事件)
司法書士はこれらの業務に対応できないため、必要に応じて弁護士や税理士と連携しながら進めることになります。
専門家 | 主な業務 | 得意分野 | 依頼すべき場面 |
---|---|---|---|
司法書士 | 相続登記、戸籍収集、遺産分割協議書作成、金融機関手続 | 登記と手続実務 | 不動産名義変更、書類作成を効率的に進めたい場合 |
弁護士 | 遺産分割調停・訴訟、遺留分請求、代理交渉 | 紛争解決・交渉 | 相続人同士の対立がある場合 |
税理士 | 相続税申告、節税対策、贈与税相談 | 税務全般 | 相続税が発生する場合、節税を検討したい場合 |
相続手続の内容は家庭ごとに異なるため、依頼先を見極めることが重要です。
不動産がある場合 → 司法書士が必須
相続人間で揉めそうな場合 → 弁護士の関与が必要
相続税がかかる可能性がある場合 → 税理士への相談が不可欠
司法書士は相続登記や書類作成を得意とする一方、紛争解決や税務には関与できません。そのため、相続の全体像を整理しつつ、必要に応じて複数の専門家に相談することが理想的です。
登記や戸籍収集といった煩雑な手続きを一括で依頼できる
相続登記の義務化にスムーズに対応できる
弁護士や税理士との連携で「相続の入り口」として機能する
司法書士は、相続のスタートラインに立つ際に最も身近な専門家です。特に不動産を含む相続では、司法書士に依頼することが第一歩となります。
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