あいち相続ひろばの野々山です。
ご家族が亡くなられた後、「相続手続をどう進めればいいのか」「司法書士に何を依頼できるのか」と悩まれる方は少なくありません。不動産の名義変更、戸籍収集、遺産分割協議書の作成など、専門的で煩雑な手続きが多く、自分で進めるのは大変です。特に2024年4月から相続登記が義務化されたことで、司法書士の役割に関心が高まっています。
この記事では、司法書士が担当できる相続手続の内容をわかりやすく整理し、弁護士や税理士との違い、依頼する際の費用や流れまで網羅的に解説します。この記事を読むことで、司法書士に依頼できる範囲や自分で準備すべきことが明確になり、安心して相続を進められるようになります。
相続手続をスムーズに進めたい方や、司法書士への依頼を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
相続手続を司法書士に依頼する場合、一般的には以下のような流れで進みます。
初回相談(無料の場合が多い)
相続人や相続財産の概要をヒアリング
必要な書類や依頼できる範囲を確認
費用の見積もりを提示
戸籍収集・相続関係説明図の作成
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を収集
相続人全員の戸籍を取り寄せ、家族関係を図式化
遺産分割協議書の作成サポート
相続人全員で財産の分け方を話し合い、書面にまとめる
協議が成立しない場合は弁護士の関与が必要
相続登記(不動産の名義変更)
協議内容を基に法務局に登記申請
司法書士が代理人として申請できるためスムーズに進む
金融機関の相続手続き(遺産承継業務)
預貯金の解約、株式口座の名義変更などをサポート
銀行ごとに必要書類が異なるため、専門家が代行することで大幅に時間短縮できる
司法書士に依頼する際の費用は、業務の範囲や財産の規模によって異なります。
相続登記(不動産1件あたり)
→ 約5万円~10万円前後(登録免許税は別途必要。不動産評価額の0.4%)
戸籍収集・相続関係説明図作成
→ 約3万円~5万円
遺産分割協議書作成サポート
→ 約3万円~8万円
遺産承継業務(預貯金や株式の手続)
→ 相続財産の0.5%~1%程度
相続放棄申立書作成(家庭裁判所提出用)
→ 約3万円~5万円
司法書士によって料金体系が異なるため、見積もりを確認してから依頼することが安心です。
不動産の評価額を事前に確認しておく
戸籍を一部自分で収集してから依頼する
相続財産が多い場合は「パック料金」を設定している司法書士事務所を選ぶ
【状況】
60代男性が父親を亡くし、母親と2人で相続。主な財産は実家の土地建物。
【司法書士の対応】
戸籍一式を収集
相続関係説明図を作成
母親を単独名義にする相続登記を代理申請
【結果】
依頼から約1か月で登記が完了。依頼者は「自分で戸籍を集める手間が省けて助かった」と満足。
【状況】
70代女性が夫を亡くし、3つの銀行と証券口座の手続きが必要に。戸籍収集や銀行訪問が負担に感じていた。
【司法書士の対応】
戸籍収集から遺産分割協議書作成まで代行
銀行ごとの必要書類を準備し、手続を一括サポート
【結果】
2か月で全ての口座を解約・名義変更完了。女性は「自分一人では半年以上かかったと思う。安心して任せられた」とコメント。
【状況】
40代男性が、借金の多い親を相続したくないと考え、相続放棄を検討。
【司法書士の対応】
必要な戸籍を収集
相続放棄申立書を作成し、家庭裁判所に提出
期限内(3か月以内)に相続放棄を成立させた
【結果】
借金を背負うことなく安心して生活を続けられた。
手間のかかる戸籍収集・登記申請を任せられる
期限のある相続登記や相続放棄にスピーディーに対応できる
金融機関や証券会社の煩雑な手続きを代行してもらえる
費用はかかるが、時間と安心を買える
相続手続は、不動産の名義変更や預貯金の解約など、多岐にわたる作業を期限内に正しく進める必要があります。司法書士は、相続登記をはじめ、戸籍収集や遺産分割協議書の作成サポート、相続放棄の申立書作成などを専門的に担える存在です。特に相続登記の義務化が始まったことで、司法書士のサポートは今後ますます重要になります。
弁護士や税理士と役割が異なるため、「どの専門家に何を依頼すべきか」を理解したうえで依頼先を選ぶことが大切です。司法書士に相談することで、手間や時間を大幅に削減でき、相続人同士のトラブル予防にもつながります。
相続は一生に何度も経験するものではなく、多くの方にとって初めての手続きです。「自分で進めるのは不安」「登記や金融機関の手続きで失敗したくない」と感じる方は、まず司法書士に相談することをおすすめします。
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