あいち相続ひろばの野々山です。
身近な方が亡くなったとき、多くの方が直面するのが煩雑な相続手続です。戸籍の収集や遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更など、やるべきことが多岐にわたるため、「どの専門家に依頼すればよいのか分からない」というお声をよく耳にします。特に行政書士については、「相続で何をしてくれるのか?」「司法書士や弁護士とはどう違うのか?」と疑問に思われる方が少なくありません。
本記事では、行政書士が相続で対応できる業務・できない業務を整理し、他士業との違いや連携の仕組みをわかりやすく解説します。さらに、依頼するメリット・デメリット、費用の目安、実際のサポート事例もご紹介します。
相続手続をスムーズに進めたい方、専門家選びで迷っている方はぜひ最後までお読みください。
相続手続と一口に言っても、その内容は幅広く、相続人の調査から遺産分割、名義変更、税務申告に至るまでさまざまな作業が必要になります。行政書士は、特に書類作成の専門家として、相続における重要な部分を担うことができます。ここでは、行政書士が具体的にどのようなサポートを提供できるのかを解説します。
行政書士は「官公署に提出する書類」「権利義務や事実証明に関する書類」を作成する国家資格者です。年間で数百種類以上の書類に対応できるといわれ、相続に関しても重要な役割を果たします。行政書士の特徴は、依頼者の希望をヒアリングし、それを法的に整った形で書面化する点にあります。
例えば、遺産分割協議書を例に挙げると、口頭での話し合い内容をそのままにしておくと後々トラブルになるリスクがあります。行政書士は、相続人全員の合意を正確に反映した協議書を作成し、法的効力を持つ文書として残すことが可能です。
相続手続の第一歩は、誰が相続人になるのかを確定することです。このためには被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍をすべて取得し、さらに相続人全員の戸籍も収集しなければなりません。
これらの戸籍は本籍地が全国各地に分散しているケースも多く、平日に役所へ出向く必要があるため、時間と労力がかかります。行政書士は、依頼者に代わって戸籍収集を一括で代行でき、相続関係説明図(家系図のように相続関係を図示した書類)を作成します。これにより、相続人の範囲が明確になり、次の遺産分割協議がスムーズに進められます。
相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を承継するかを決める「遺産分割協議」が必要です。この内容を文書化したものが「遺産分割協議書」であり、不動産の名義変更や銀行口座の解約・名義変更の際に必須となります。
行政書士は、相続人全員の合意内容を反映した遺産分割協議書を正確に作成できます。形式や内容に不備があると後で金融機関や法務局で受理されないことがあるため、専門家に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。
相続関係説明図とは、相続人の関係性を図で示したものです。戸籍謄本の代わりに提出できるため、登記や金融機関手続で求められることが多い書類です。行政書士は、収集した戸籍をもとに相続関係説明図を作成し、見やすく整理された形で提供します。
行政書士は金融機関での相続手続についてもサポート可能です。銀行口座の解約・名義変更、証券口座の名義変更などには多くの書類が必要になりますが、行政書士が遺産分割協議書や委任状を整え、必要書類をそろえることで手続を円滑に進められます。
ただし、銀行に直接出向いて手続きを代行することはできないため、最終的な窓口対応は相続人本人が行う必要があります。それでも事前準備を行政書士が支援することで、手続の負担は大幅に軽減されます。
相続放棄とは、家庭裁判所に申述して「相続しない」意思を示す手続です。これを行うと、借金などのマイナス財産も含め、すべての相続権を放棄できます。行政書士は、相続放棄申述書の作成を支援し、裁判所への提出をスムーズに進められるようサポートします。
相続手続は「自分でもできる」と考える方もいますが、書類の不備や相続人調査の漏れは、後々のトラブルにつながります。行政書士に依頼することで、法的に整った書面が確実に作成され、金融機関や法務局での不受理リスクを避けられます。
さらに、行政書士は依頼者の状況に応じて司法書士・税理士・弁護士などの他士業と連携するケースも多く、トータルで相続を支援できるのも特徴です。
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