あいち相続ひろばの野々山です。
「夫の物忘れが増えてきて、この先の不動産管理が心配」「もし認知症になったら、アパートの修繕や売却はどうすればいいの?」——そんな不安を感じていませんか。
この記事では、家族信託を活用した不動産管理のメリットと注意点を、専門用語を使わずわかりやすくご紹介します。
家族信託は、将来の認知症や介護に備えながら、不動産の管理・相続手続をスムーズに進めるための新しい仕組みです。
名古屋市内でも活用が増えており、「子どもに迷惑をかけたくない」「自宅や賃貸物件を安心して引き継ぎたい」と考える方に選ばれています。
この記事を読むと、家族信託の基本・具体的な活用方法・注意点・専門家に相談する際のポイントが理解できます。
不動産や財産の管理を考え始めた方は、ぜひ最後までお読みください。
家族信託(かぞくしんたく)とは、財産の所有者が、信頼できる家族にその管理・運用を託す契約のことです。
法律上は「民事信託」と呼ばれ、**委託者(財産を預ける人)・受託者(管理を任される人)・受益者(利益を受け取る人)**の三者で成り立ちます。
たとえば、名古屋市昭和区に住む73歳の佐藤和子さん(仮名)のケースを見てみましょう。
夫の名義で自宅と賃貸アパートを所有しており、今後の管理を心配しています。
この場合、夫(委託者)が息子(受託者)に「不動産管理を任せる」契約を結ぶことで、夫が将来認知症になっても、息子が代わりに修繕・賃貸契約・税金支払いなどの管理を続けることができます。
利益(家賃収入など)は、これまで通り夫(受益者)に戻すことができるため、生活への影響もありません。
このように、家族信託は**「名義は子ども、実質的な利益は親」という新しい管理形態**を実現する仕組みです。
従来の「成年後見制度」や「遺言」とは異なり、元気なうちに柔軟なルールを自分たちで決められる点が大きな特徴です。
不動産や相続手続を考えるとき、「成年後見制度」「遺言書」との違いを理解しておくことが重要です。
制度名 | 主な目的 | 手続開始のタイミング | 管理・運用の自由度 | 費用・手続負担 |
---|---|---|---|---|
成年後見制度 | 判断能力を失った人の財産を守る | 認知症発症後 | 低い(家庭裁判所の監督下) | 継続的に報告義務あり |
遺言 | 死後の財産承継を指定する | 死亡後 | 運用不可(生前は無効) | 作成費用数万円程度 |
家族信託 | 生前から財産を柔軟に管理・承継 | 元気なうちに開始可 | 高い(契約内容で自由設計) | 契約書作成費用あり(10~50万円程度) |
成年後見制度は、判断能力が低下してから開始されるため、事前に準備することはできません。
また、後見人が家庭裁判所の監督を受けるため、不動産売却や賃貸契約などの判断が遅れるケースもあります。
一方で家族信託は、「今」元気なうちに契約を結べる点が最大の利点です。
信頼できる家族にあらかじめ権限を渡しておくことで、将来の不安を大きく減らせます。
近年、名古屋市や愛知県内でも「家族信託に関する無料相談会」への参加者が増えています。
理由は、地域特有の家族構成や資産背景にあります。
名古屋市内では、
親世代が築いた戸建て・賃貸物件を所有している
子ども世代が東京や大阪に住んでいる
相続財産の多くが不動産に偏っている
といったケースが多く見られます。
こうした家庭では、「親が判断できなくなった後に、家の売却や管理が止まってしまう」リスクが非常に高いのです。
家族信託を使えば、親が元気なうちに契約を整え、子どもがスムーズに管理を引き継ぐことができます。
また、相続手続の現場では、
「後見人を付けたら家を売るのに半年以上かかった」
「親の口座が凍結され、固定資産税が払えなくなった」
といった声も少なくありません。
そのような問題を防ぐために、名古屋市内の司法書士・行政書士事務所でも、家族信託を取り入れた**「認知症対策+相続手続の一体化サポート」**が増えています。
家族信託は、特に次のような不動産に効果的です。
賃貸アパート・マンション(契約更新や修繕が必要な物件)
空き家・将来的に売却予定の土地
複数の名義で共有している不動産
事業用不動産(会社経営者が所有している土地・建物)
これらは、名義人の判断能力が低下すると、すぐに手続が止まってしまうリスクがあります。
信託契約を結んでおけば、たとえ本人が入院や介護状態になっても、受託者が管理・売却・修繕を行えるため、資産価値を保てます。
家族信託は、家族間で信頼に基づいて財産管理を任せる制度
成年後見や遺言とは異なり、生前から柔軟に設計できる
名古屋市では「不動産を中心とした資産管理」に有効
元気なうちに契約を結ぶことで、認知症リスクを回避できる
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