あいち相続ひろばの野々山です。
三河地方に多い「共有名義の実家を売りたいのに売れない」というお悩みを抱えていませんか。特に岡崎市や豊田市、西尾市などでは、兄弟姉妹で共有したまま相続した空き家をどう扱うべきか迷う方が年々増えています。共有不動産は、共有者全員の同意がなければ売却できないため、1人でも反対すると相続手続や売却が止まり、固定資産税や管理負担だけが重くなってしまいます。
この記事では、三河エリアで頻出する「兄弟共有の土地建物が放置される理由」と、その結果起きる売却トラブル、さらに共有不動産を整理して売却するための具体的な方法をわかりやすく解説します。これからご紹介する内容を読むことで、共有名義の問題点、相続手続の進め方、共有者と合意できない場合の対処法がすべて理解できるようになります。
特に、岡崎市在住で実家の管理を任されている50代の長男の方や、共有者が県外にいて話が進まないケースに悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
三河地方では、岡崎市・豊田市・安城市・西尾市といったエリアを中心に、兄弟姉妹で共有名義のまま相続した空き家が増えています。人口が比較的多く、実家が地主型の多い地域柄、土地を分割しにくいケースが多いことも背景のひとつです。さらに、実家が持ち家文化として根強く残っていることから、「将来使うかもしれない」と安易に共有のまま相続手続をしてしまい、気づけば10年以上何も手を付けていないという状況が珍しくありません。
共有名義不動産は、名前のとおり複数名で“共同所有”している状態です。一見すると平等な形に見えますが、売却や賃貸、解体といった意思決定が必要になると、共有者全員の同意が必須となるため、ひとたび意見が割れると何も進まなくなります。特に、三河地方では兄弟が地元に1人だけ残り、ほかの共有者は名古屋市や東京方面へ転居しているケースが多く、「実家を売りたい人」と「思い入れがあり売りたくない人」との温度差が生まれやすい傾向があります。
共有名義不動産で売却が進まない理由は、主に次の3つに集約されます。
共有名義の土地建物を売却するには、共有者全員の署名・押印が必要です。兄弟が3人いれば3人、5人いれば5人、全員の同意を揃えなければ売却できません。「面倒だから今回はパスしたい」「今は売りたくない」と1人でも言えば、売却は事実上不可能です。
三河地方の場合、相続した兄弟のうち1〜2名が県外在住ということが多く、意思決定の場を整えるだけでも大変です。特に岡崎市や西尾市の農地が絡む不動産では、固定資産税が重くのしかかり、相談者だけが負担し続ける不公平が生じやすく、精神的なストレスも増大します。
空き家は放置すると老朽化し、草木や害虫問題、近隣トラブルにつながります。岡崎市などでは行政から「特定空家」の指導が入るケースも増えています。しかし、共有者の一部は遠方に住んでいるため「現状がどれだけ深刻なのか」を肌で感じられません。その結果、管理をしている人の負担ばかりが増え、売却話をしても理解されないという悪循環が起きます。
「売りたいのに売れない」原因のなかには、共有名義そのものよりも“相続手続が未了”であるケースが少なくありません。たとえば、
祖父名義のまま
母だけ死亡して名義変更されていない
相続人が増えて共有者が10名以上になっている
といった状態では、売却以前に権利関係を整理する必要があります。
名古屋市や愛知県の司法書士事務所でも、こうした“過去の相続手続を放置したまま何十年も経っている案件”で相談が急増しています。2024年の相続登記義務化によって、将来さらに手続きが複雑化する可能性があります。
三河エリアの共有不動産で多くみられる典型例をまとめると次のとおりです。
兄弟の1人が「売りたくない」と言い張る
遠方の共有者が話し合いに参加しない
共有者の1人が行方不明
相続手続が途中のまま、名義人が複数代にわたって増えてしまった
空き家の管理者だけに負担が偏り、不満が蓄積
不動産会社に相談しても「全員の同意が必要」と言われるだけで解決しない
こうしたトラブルは、三河地方の広い土地事情、地元に残るのは1名だけという家族構造、そして「まだ処分しなくてもいいのでは」という価値観が複雑に絡み、起きやすくなっています。
前編では、三河地方で共有名義不動産がなぜ売れないのか、その背景や地域特性、典型的なトラブルを整理しました。共有名義の問題は、そのまま放置しても自然に解決することはありません。むしろ、時間が経つほど相続手続は複雑になり、共有者が増えてしまうため、状況が悪化するだけです。
次の中編では、実際に共有不動産を整理し、売却可能な状態にするための具体的な方法について詳しく解説します。共有者間の合意形成が難しい場合の対処法や、専門家が介入すると何が変わるのかも紹介します。
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