あいち相続ひろばの野々山です。
三河地方に多い「共有名義の実家を売りたいのに売れない」というお悩みを抱えていませんか。特に岡崎市や豊田市、西尾市などでは、兄弟姉妹で共有したまま相続した空き家をどう扱うべきか迷う方が年々増えています。共有不動産は、共有者全員の同意がなければ売却できないため、1人でも反対すると相続手続や売却が止まり、固定資産税や管理負担だけが重くなってしまいます。
この記事では、三河エリアで頻出する「兄弟共有の土地建物が放置される理由」と、その結果起きる売却トラブル、さらに共有不動産を整理して売却するための具体的な方法をわかりやすく解説します。これからご紹介する内容を読むことで、共有名義の問題点、相続手続の進め方、共有者と合意できない場合の対処法がすべて理解できるようになります。
特に、岡崎市在住で実家の管理を任されている50代の長男の方や、共有者が県外にいて話が進まないケースに悩んでいる方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
共有名義の土地や空き家は、そのままでは売却が止まってしまうことが多いため、まずは「売却できる状態」をつくることが必要です。三河地方(岡崎市・豊田市・安城市・西尾市など)での相談事例を踏まえると、整理の流れは次の3ステップに集約されます。
最初に行うべきことは、「今、誰がどれだけの割合を持っているのか」「相続手続は完了しているのか」を正確に把握することです。司法書士が行う権利関係の調査では、次の項目を徹底的に確認します。
現在の所有者(共有者)一覧
持分割合(例:長男1/3、次男1/3、妹1/3)
相続登記が済んでいるか
過去の名義(父母・祖父母)に遡って相続が放置されていないか
共有者の所在、連絡先
共有者が高齢で判断能力があるかどうか
特に三河地方では「先代の名義のまま放置」されているケースが多く、岡崎市や安城市の実例でも、祖父名義→父の死亡→兄弟3名が誰も登記せず…という状態が珍しくありません。
相続手続が未了だと、売却の前に相続人を全員確定し、遺産分割協議書の作成や相続登記が必要です。この段階で共有者が増えることも多く、10人以上の相続人が現れるケースもあるため、できるだけ早い段階で専門家に依頼することが望まれます。
権利関係を整理したら、次は共有者全員で協議を行います。売却・賃貸・管理継続など選択肢はいくつかありますが、最終的に全員の合意が必要です。
ただし、共有者の1人が名古屋市や関東に住んでいるケースが多く、話し合いの進行が難しいことがあります。また、共有者の温度差も大きく、「現状のリスクを理解していない」ことが原因で反対される場面が多くあります。
そこで、司法書士や不動産の専門家は、次のような「判断材料」を揃えて共有者全員に提示します。
空き家・土地の現状写真
老朽化・草木繁茂のリスク資料
固定資産税の負担額
近隣トラブルの可能性
行政(岡崎市・豊田市)の指導基準(特定空家など)
売却した場合の査定額
売却しない場合の将来の管理コスト
相続手続を放置した場合のリスク(共有者が増え続ける 等)
これらを可視化することで、共有者が現実を理解しやすくなり、話し合いが前に進みます。
話し合いがまとまった後は、以下のいずれかの方法により「共有状態を解消」し、不動産を売却できる形に整えます。
もっとも一般的で実務上スムーズな方法です。
例:
長男(岡崎市在住)が売却を主導したい
弟・妹が売りたくない/管理したくない
この場合、長男が弟・妹の持分を買い取り、単独名義にすることで、売却が自由に進められます。
買い取り額は「時価×持分割合」を基準に進めます。持分評価はプロが行うため、共有者間のトラブルを避けやすくなります。
代償分割とは、相続手続のなかで使われる解決法で、
「不動産は長男が相続する。その代わり、長男がお金を支払って兄弟に代償する」
という手法です。
三河地方ではこの方法が非常に多く、特に「実家の管理を任されている長男が代償して単独名義にする」形がよく採用されています。
どうしても共有者全員の合意が得られない場合、裁判所に共有物分割訴訟を申し立てることができます。これは最後の手段で、次の2種類があります。
現物分割(土地を分けて分筆する)
換価分割(裁判所が強制的に売却し、代金を分ける)
三河地方は土地の形状が広大で分けにくく、現物分割が難しいケースが多いため、実際には「強制売却(換価分割)」が選択されることが多いです。
共有名義では、共有者が行方不明だったり、連絡を拒否したりするケースも多く、三河地方でもよく相談があります。その場合は、次のような方法で前に進められます。
共有者が行方不明の場合、家庭裁判所に申し立てることで「不在者財産管理人」を選任できます。管理人が共有者の代わりに手続きを進められるため、売却の同意を揃えることが可能になります。
共有者が高齢で意思表示が難しい場合、家庭裁判所で「特別代理人」を選任し、その代理人が手続きを進めることができます。
岡崎市や安城市の高齢化地域では、こうしたケースが今後確実に増えると予想されます。
中編では、共有名義不動産を売却可能な状態に整えるための具体的なステップを解説しました。共有名義の問題は複雑に見えますが、整理すべきポイントは次の3つに絞られます。
まず権利関係(相続手続・登記)を正確に把握する
共有者全員が理解しやすい資料を基に合意形成を行う
共有状態を解消し、売却できる形に整える
後編では、実際の三河地方(岡崎市・豊田市・西尾市など)での解決事例を紹介し、どの方法がどのようなケースに向いているのかをより具体的に整理します。
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