親が亡くなった直後は、悲しみや戸惑いの中で、さまざまな判断を迫られる時期です。
「何から手をつければいいのかわからない」「とりあえず動いた方がいいのでは」
そう思って行動したことが、あとから相続トラブルの原因になってしまうケースは少なくありません。
実際の相続相談の現場では、
「良かれと思ってやったことが問題になった」
「そのとき誰かに聞いていれば防げたのに」
という声を、何度も耳にします。
この記事では、**親が亡くなった直後だからこそ“やってはいけないこと”**を、相続の実務に携わる司法書士の立場から解説します。
相続は、親が亡くなったその瞬間から始まります。
役所への届出や葬儀が一段落してから…と思われがちですが、法律上は死亡と同時に相続が開始します。
この時点で、
誰が相続人なのか
どんな財産・負債があるのか
期限のある手続きは何か
を意識せずに行動してしまうと、後戻りできない状況になることもあります。
「まだ何もしなくていいだろう」
「家族で話せば何とかなる」
そう考えている間に、取り返しのつかない初動ミスが起きてしまうのです。
親が亡くなった直後、兄弟姉妹など相続人同士で
「とりあえず、こう分けようか」
「お母さんはこう言ってたよね」
と話が進むことはよくあります。
今は仲が良くても、相続はお金と不動産の話です。
いざ具体的な金額や不動産の名義が出てくると、考え方の違いが表面化します。
言った・言わない
聞いていない
そんなつもりじゃなかった
こうした食い違いが、後から大きな対立に発展します。
相続では、正式な「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が合意しなければなりません。
口頭での約束や、LINE・メモ書きだけでは、法的な効力はありません。
一度「話がまとまった」と思って動いてしまうと、
あとから誰かが意見を変えたとき、非常に厄介な状況になります。
親の死亡後、生活費や葬儀費用のために、
「少しだけなら…」と預金を引き出してしまうケースがあります。
確かに、葬儀費用などに充てる事情は理解できます。
しかし、相続人全員の合意なく預金を引き出す行為は、トラブルのもとになります。
使い込みだと疑われる
特別受益として扱われる
返還を求められる
といった問題に発展することもあります。
本来、預金は相続財産として、
相続人全員で話し合ったうえで分配するものです。
どうしても急な支出がある場合でも、
事前に専門家へ相談してから動くことで、後のトラブルを防ぐことができます。
「やってはいけないこと」を知ると同時に、
この段階で必ず意識してほしいポイントがあります。
戸籍を確認しないまま
「相続人はこの人たちだろう」
と判断するのは危険です。
前婚の子がいた、養子がいた、認知している子がいた、
といったケースは珍しくありません。
不動産
預貯金
有価証券
借金・保証債務
一部だけを見て判断すると、後から「知らなかった財産・負債」が見つかることがあります。
相続放棄や限定承認など、期限が決まっている手続きもあります。
「落ち着いてから考えよう」としているうちに、選択肢がなくなることもあります。
相続の初動ミスは、あとから修正することが非常に難しいです。
特に、家族関係が絡む問題ほど、感情が先行してしまいます。
専門家に相談することで、
冷静な第三者の視点が入る
法律的に正しい進め方がわかる
無用な対立を避けられる
といったメリットがあります。
「相談=依頼」ではありません。
早めに相談した人ほど、相続がスムーズに進むのが実情です。
親が亡くなった直後は、誰でも判断力が落ちます。
だからこそ、
勝手に決めない
勝手に使わない
一人で抱え込まない
この3つを意識してほしいと思います。
相続で一番怖いのは、
「知らなかった」
「良かれと思ってやった」
その行動が、家族関係を壊してしまうことです。
次回の記事では、
不動産や相続登記を後回しにすることで起きる問題について、詳しく解説します。
相続や不動産・家族信託で
お困りの方お気軽にご相談ください。
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