―「今すぐ困らない」が一番危ない理由 ―
「相続登記は、売るときにやればいいと思っていました」
「特に困っていないので、まだ何もしていません」
相続の相談現場で、最も多く聞く言葉です。
そして同時に、後から大きな問題につながりやすい考え方でもあります。
相続登記は、やらなくてもすぐに生活に支障が出るものではありません。
だからこそ、放置されやすく、気づいたときには手遅れになってしまうのです。
この記事では、
「相続登記を放置すると、実際どうなるのか」
その入口として、まず知っておいてほしい現実を解説します。
相続登記とは、亡くなった方名義の不動産を、
相続人名義へ変更する手続きのことです。
たとえば、
実家の土地・建物
親名義の駐車場
使っていない古い土地
これらは、相続が発生しただけでは自動的に名義が変わりません。
法務局で正式な登記手続きを行って、はじめて
「自分の不動産」として扱えるようになります。
結論から言うと、
短期的には困らないが、長期的には必ず困る
というのが実務の実感です。
住み続けられる
固定資産税の納付書は届く
誰からも注意されない
このため、
「急がなくてもいい」
「そのうちやればいい」
と判断されがちです。
相続登記をしないまま時間が経つと、
目に見えないところで、確実に問題が増えていきます。
名義が亡くなった親のままでは、
売却
贈与
担保に入れる
といったことができません。
「いざ売ろう」と思ったタイミングで、
はじめて相続登記の必要性に気づく方も多いですが、
その時点ですぐに登記できるとは限らないのが問題です。
相続登記を放置する最大のリスクは、
**「相続関係がどんどん複雑になること」**です。
たとえば、兄弟3人で相続した不動産を放置している間に、
そのうちの1人が亡くなると、その人の相続人(配偶者・子)が関わってきます。
こうして、
相続人が増える
関係者が遠縁になる
連絡が取れない人が出てくる
といった状態になり、話し合い自体ができなくなることがあります。
相続登記をしないまま、次の相続が発生すると、
いわゆる「数次相続」の状態になります。
本来なら、
兄弟だけで
比較的短期間で
終わるはずだった手続きが、
甥・姪、その配偶者
場合によっては未成年者
まで関係してくることもあり、
解決までに何年もかかるケースもあります。
相続登記を放置してしまった理由を聞くと、
忙しくて後回しにしていた
兄弟で話がまとまらなかった
そもそも必要だと思っていなかった
という声がほとんどです。
悪意があるわけではありません。
「知らなかった」「きっかけがなかった」
それだけで、問題が大きくなってしまうのが相続登記の怖さです。
相続登記は、
早くやるほど簡単
時間が経つほど難しくなる
という特徴があります。
「今すぐ困っていないから大丈夫」
と思っている方ほど、
実は一番リスクが高い状態にいると言えます。
相続登記を放置しても、
すぐに大きなトラブルが起きるわけではありません。
しかし、
気づいたときには相続人が増えている
話し合いができない
手続きが進まない
こうした状態になってからでは、
時間も費用も、精神的負担も大きくなります。
次回の記事では、
相続登記を放置した結果、実際に起きたトラブルを具体的に解説します。
相続や不動産・家族信託で
お困りの方お気軽にご相談ください。
関連記事
自筆証書遺言と法務局保管サポートで安心を実感されたお客様の声
司法書士に相談する遺言書の作成方法|失敗しないためのポイントと費用相場①【あいち相続ひろば】
春日井市は相続税がかかる街? 地価水準と名古屋近郊ならではの落とし穴を、相続手続の視点から解説③