新年度は、生活や環境が変わるタイミングです。
バタバタしがちな時期ではありますが、だからこそ一度立ち止まって、家族のこれからについて考えてみる時間も大切ではないでしょうか。
相続や介護の話は、どうしても先延ばしにしてしまいがちですよね。
ただ、現場で日々お客様と接していると、「もう少し早く話しておけばよかった」というお声を本当によく耳にします。
ご両親が、そしてご自身が元気な今だからこそ、できる話があります。
たとえば、親御さんが病気になり、意思表示が難しくなったとき。
延命治療をどうするのか、どこで過ごしたいのか――といった判断は、ご家族が担うことになります。
ただ、事前に何も希望を聞いていない状態だと、「これで本当によかったのか」と迷いながら決断することになり、精神的なご負担も大きくなりがちです。
また、お金の面でも同じことがいえます。
判断能力が低下すると、預金の引き出しや契約手続きがスムーズにできなくなるケースもあり、「お金はあるのに使えない」という状況が実際に起こることもあります。
だからこそ、“何も起きていない今”に、方向性だけでも共有しておくことがとても大切です。
では、実際にどんなことを話しておくとよいのか。
ポイントは、大きく3つです。
まずは、人生の最終段階の医療や過ごし方についてです。
延命治療を希望するのか、できるだけ自然に過ごしたいのか。
自宅がいいのか、施設がいいのか――。
その時の状況は本当にさまざまで、正解があるものではありませんが、本人の考えを知っているかどうかで、ご家族のご負担は大きく変わってきます。
また、将来的に施設への入所を考える場合には、その費用をどのように準備するのかも、あわせて話題にしておくと安心です。
たとえば、実家を売却して資金に充てるのか、それとも預貯金で対応するのかなど、方向性だけでも共有しておくことで、いざというときの判断がしやすくなります。
あわせて、「いざという時に誰が判断するのか」も決めておくと、より安心です。
次に、お金の話です。
どこにどんな資産があるのか。
預金、不動産、保険など、大まかで構いませんので整理しておくことが重要です。
ここでFPとしてお伝えしたいのは、「把握していること」と「実際に使えること」は必ずしも同じではない、という点です。
認知症などで判断能力が低下すると、口座が動かせなくなったり、手続きが止まってしまったりすることがあります。
そうならないために、任意後見や家族信託といった制度を視野に入れながら、誰が中心となってお金の管理をしていくのかも、現実的に決めておく必要があります。
また、資産状況によっては相続税が発生する可能性もあるため、あらかじめその見込みを把握しておくことも大切です。
もし相続税がかかるような場合には、生前贈与や保険の活用など、税負担の軽減につながる対策が取れるかどうかについても、早めに検討しておくと安心です。
もう一つ大切なのが、介護や日常のサポートです。
通院の付き添い、手続き、日々の見守りなど、やることは想像以上に多くなります。
そして今の時代、介護を担う方の多くが仕事をしながら関わっていくケースがほとんどです。
そのため、「誰か一人がすべてを抱える」という形になってしまうと、どうしても無理が生じてしまいます。
仕事や時間、距離の問題もあるかと思いますので、無理なく続けられる形で役割を分けておくことが大切です。
また、介護サービスや公的制度の利用も前提に調べておくことで、現実的な負担の軽減にもつながります。
相続や介護の話は、どうしても重たく感じてしまうテーマです。
ただ、「何かあってから」では、冷静に話し合う余裕がなくなってしまうことも少なくありません。
新年度という節目だからこそ、「もしもの話」ではなく、「これからどうしていくか」という前向きな形で、一度話すきっかけをつくってみてはいかがでしょうか。
それだけでも、将来の安心感は大きく変わってくると思います。
行政書士法人/司法書士法人スペースGROUP 相続サポート課
AFP(日本FP協会認定)/ファイナンシャルプランナー 松本由利子
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