あいち相続ひろばの野々山です。
最近、名古屋市では空き家が増えていることがニュースでも取り上げられ、特に親の家を相続したまま放置している方から「相続登記の義務化が始まると聞いて不安」という声をよくお聞きします。
空き家をそのままにしておくと、管理費や固定資産税の負担が増えるだけでなく、将来売却や賃貸に出す際に手続きが複雑になることもあります。
この記事では、名古屋市で増えている空き家問題の現状と、令和6年4月から始まる相続登記義務化のポイント、そして実家の名義整理をスムーズに進めるための方法を、司法書士・行政書士の視点でわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、**「何から手をつければいいのか分からない」**という不安を解消し、安心して相続手続を進めるヒントが得られます。
対象は、名古屋市に実家を持ち、空き家の管理や相続手続に不安を感じている高齢の方です。
名古屋市では、高齢化や人口の都市部集中に伴い、空き家が年々増加しています。
特に昭和40~50年代に建てられた住宅は老朽化が進み、所有者が亡くなったまま名義変更されていない実家が多く存在します。
空き家が増える主な背景は以下の通りです。
高齢者の単身世帯が増え、相続人が遠方に住んでいるケースが多い
相続登記をしないまま放置され、手続きが複雑になっている
親の家に愛着があり、売却や解体に踏み切れない
このような状況は、名古屋市だけでなく全国的な傾向ですが、都市圏である名古屋では特に顕著です。
空き家を長期間放置すると、次のようなリスクが発生します。
建物の老朽化による倒壊や近隣トラブル
雨漏りや外壁の劣化、雑草の繁茂は近隣住民への迷惑につながり、損害賠償リスクもあります。
固定資産税や管理費の負担増
空き家は固定資産税の軽減措置が外れる場合があり、維持費が増えることがあります。また庭の管理や火災保険の更新も必要です。
売却・賃貸の手続きが複雑化
相続登記がされていないと、不動産を売却したり貸したりする際に手続きが止まってしまいます。将来的に相続人が増えると、さらに調整が難しくなります。
令和6年4月から、相続登記の義務化が施行されます。
これにより、不動産を相続した人は原則3年以内に登記を行う必要があります。
登記を怠ると、**10万円以下の過料(罰金)**が科される可能性があります。
つまり、親の家を名義変更せず放置することは、法律上のリスクを伴う時代になりました。
まずは、誰が相続人かを明確にすることが重要です。
戸籍謄本を取得して法定相続情報一覧図を作成することで、登記に必要な相続人の情報を整理できます。
さらに、相続人が複数いる場合は遺産分割協議が必要です。
遺産分割協議書を作成することで、誰がどの不動産を相続するかを正式に決められ、登記手続きの根拠にもなります。
名古屋市では、空き家対策として以下の取り組みを行っています。
空き家解体や改修の補助金制度
空き家バンクへの登録支援
老朽住宅除却補助制度
これらを活用することで、実家を放置せずに活用・売却する際の費用負担を抑えられます。
補助金の申請は期限があるため、早めの行動が重要です。
前編では、名古屋市で増える空き家の現状と、放置するリスク、そして相続登記義務化によって何が変わるのかを解説しました。
実家を放置すると、税負担・管理負担・手続きの複雑化などさまざまなリスクがあることがわかりました。
次の中編では、相続登記をスムーズに進める具体的な手順と、放置してしまった場合の対処法について詳しく解説します。
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