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2025.5.7

【認知症の相続人がいる場合の遺産分割】

【認知症の相続人がいる場合の遺産分割】

こんにちは!相続スタッフの伊藤です!

相続の手続きは、ただでさえ複雑で精神的な負担も大きいものです。ましてや、相続人の中に「認知症」の方がいると、さらに手続きが煩雑になり、思わぬトラブルを招くこともあります。

「親が認知症になってしまったけど、遺産ってどう分けるの?」「法定相続分通りに進めるだけではだめなの?」
そんな疑問を持つ方も少なくありません。

この記事では、認知症の相続人がいる場合に、法定相続分どおりに遺産を分けることの問題点と、その対処法についてわかりやすく解説します。後々のトラブルを回避するためにも、ぜひ正しい知識を身につけておきましょう。

この記事を読むことで、
・認知症の相続人がいる場合に必要な手続き
・法定相続分通りの分割に潜む落とし穴
・成年後見制度の利用方法
・トラブルを防ぐ遺言書や生前対策の重要性
などが明確になります。

親が認知症になってしまったご家族や、相続についての不安を抱えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください!


第1章:認知症の相続人がいると起こる相続の問題とは?

相続人の中に認知症の方がいると、相続手続きにおいて大きな障害が生じます。特に、相続人全員の合意が必要となる「遺産分割協議」が進められないという点が最大の問題です。

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意する手続きです。この協議は、全相続人の合意があって初めて成立します。合意には「法律行為を有効に行える能力(意思能力)」が求められます。

認知症の相続人は、病状によってはこの意思能力を欠いていると判断され、法律上、有効な合意を行うことができません。そのため、協議が成立せず、手続きが前に進まなくなります。


第2章:法定相続分どおりに分ければ問題ない?実はそうでもない理由

「認知症の相続人がいても、法定相続分どおりに分けるなら問題ないのでは?」と思われる方も多いでしょう。

しかし、現実には法定相続分通りに分けたとしても、認知症の相続人の意思確認ができない状態では、形式的にでも協議書を作成する必要があり、それが無効になる可能性があります。

金融機関や法務局の実務上の対応

たとえ法定相続分で分ける場合でも、遺産分割協議書を求める金融機関や登記の際に添付が必要になるケースがほとんどです。この書類に認知症の相続人の署名押印がなされていても、本人の意思能力がないと判断されれば、無効とされるリスクがあります。

その結果、銀行口座が凍結されたまま資金が引き出せなかったり、不動産の名義変更ができなかったりするなど、相続手続きが滞ってしまいます。


第3章:認知症の相続人がいる場合の対処法と手続き

認知症の相続人がいる場合、遺産分割協議を有効に進めるためには「成年後見制度」の活用が不可欠です。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害などによって判断能力が不十分な人のために、家庭裁判所が選任した後見人が財産管理や法律行為を代行する制度です。

相続人が認知症で意思能力がないと判断された場合、家庭裁判所に申立てを行い、成年後見人を選任してもらう必要があります。成年後見人が選任されれば、その後見人が本人に代わって遺産分割協議に参加することができます。

成年後見人の選任にかかる時間と費用

成年後見人の選任には、通常1〜2ヶ月程度かかります。申立費用や鑑定料も含め、総額で10万円〜20万円程度がかかる場合があります。さらに、後見人には継続的な報告義務や、家庭裁判所の監督下での財産管理が求められるため、手間と時間がかかる制度であることも理解しておく必要があります。


第4章:トラブルを防ぐための生前対策とは?

認知症になってからでは遅いため、元気なうちから相続対策を講じておくことが何より重要です。

遺言書の活用

遺言書を作成しておけば、遺産分割協議を行う必要がなくなります。特に公正証書遺言であれば、形式不備のリスクが少なく、確実に意思を残せます。認知症になってからでは作成できないため、元気なうちの準備が必須です。

家族信託や任意後見契約

最近では「家族信託」や「任意後見契約」といった制度を活用するケースも増えています。家族信託は、財産管理の権限をあらかじめ家族に託しておく制度で、本人が認知症になっても財産の管理がスムーズに行えます。

任意後見契約は、将来認知症になったときに備えて、あらかじめ後見人を指定しておく契約です。公正証書で契約しておくことで、発症後すぐに手続きを開始できます。


まとめ

認知症の相続人がいる場合、法定相続分どおりに遺産を分けようとしても、手続きが止まってしまう可能性があることがわかりました。

・認知症の相続人は遺産分割協議に参加できないため、成年後見制度の利用が必要
・たとえ法定相続分で分ける場合でも、協議書作成や登記において認知症の影響は避けられない
・トラブルを回避するためには、生前からの対策が必須

この記事を通じて、認知症と相続の関係、そして早めの備えの重要性についてご理解いただけたのではないでしょうか。

相続・遺言に関するご相談があれば、ぜひ「あいち相続ひろば」までご連絡ください。相続の専門家として、皆さまのお悩みに寄り添い、最善の解決策をご提案いたします。

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