あいち相続広場の野々山です。
親が亡くなり、実家の相続を兄弟と話し合う中で、「母が今後も住み続けたいと言っているが、相続の分配はどうするのか」「兄弟間で不公平感が出ないようにしたい」とお悩みではありませんか?
この記事では、そうしたご家族の間で発生しやすい実家相続の悩みに対し、「配偶者居住権」という制度を使って円満に解決する方法をわかりやすく解説していきます。
特に以下のようなことがこの記事でわかります:
配偶者居住権とは何か、その仕組みと法的効果
実家に母が住み続けながら相続分を公平に分ける方法
税金面や登記の手続きについての注意点
実際の相続相談現場でよくあるトラブルと対策例
この記事は、**「母に住み続けてもらいたい」「兄弟と揉めたくない」「相続を円満に進めたい」**という方にぜひ読んでいただきたい内容です。最後までお読みいただければ、納得できる相続の形が見えてくるはずです。
【中編】実家相続の現場で配偶者居住権が活躍するケース
母が住む実家を相続財産としてどう扱うか
建物に母が住み続け、土地を兄弟で分ける方法
たとえば、実家が「建物1,000万円」「土地2,000万円」と評価された場合、建物の「配偶者居住権」は母に、土地の所有権は兄弟で半分ずつ相続するという分割が可能です。
これにより、母は住み慣れた家で安心して暮らせ、子どもたちも自分の相続分を金銭や土地として公平に受け取ることができます。
居住権を利用した不動産評価の軽減効果
配偶者居住権が設定されることで、不動産の評価額は**「所有権-居住権」**という形で減額されます。これは結果的に、配偶者の相続分が減り、他の相続人にとっては取得できる遺産の割合が増えるという効果もあります。
相続税への影響と注意点
配偶者居住権は相続税の対象になる?
配偶者居住権自体にも一定の評価額がつき、相続税の課税対象となります。しかし、「配偶者の税額軽減」が適用されるため、1億6,000万円または法定相続分までは非課税になります。
また、残された不動産の評価も下がるため、全体の相続税額が圧縮されるケースもあります。
遺産分割協議や遺言での注意点
遺産分割協議に配偶者居住権を明記する必要がある
この制度を活用するには、相続人全員の合意のもと、遺産分割協議書に「○○(配偶者)が○○の建物について配偶者居住権を取得する」と明記する必要があります。
もしくは、被相続人が遺言書で配偶者居住権を指定しておくことも有効です。いずれにせよ、登記も必須で、登記をしなければ第三者に対抗できません。
関連記事
【お急ぎの相続登記】名古屋市でダブル相続に直面した方へ|放置していた相続登記のリスクと対処法②
遺言の必要性について考える
司法書士に相談する遺言書の作成方法|失敗しないためのポイントと費用相場①【あいち相続ひろば】