あいち相続ひろばの野々山です。
「相続登記の義務化が始まったけれど、遺産分割協議書をどう作ればいいのか分からない」「名古屋や愛知県の実家を相続したまま数年放置していて不安」という声を、最近とても多く聞きます。相続人が複数いるケースでは、話し合いがまとまらないまま時間だけが過ぎ、気付けば“手続き途中の不動産”が放置されている状況も珍しくありません。
この記事では、**相続手続の中でも特に重要となる「遺産分割協議書の作成」**について、義務化との関係、不動産売却への影響、書類の作り方のポイントまでわかりやすく解説します。名古屋市や愛知県で相続を迎えた方が、実家・空き家・田畑など複数不動産を抱えていても、迷わず進められるよう具体的な例も交えてお伝えします。
特に、親が亡くなってから数年が経ち「そろそろ手続きを進めたい」と考えている方、兄弟姉妹との話し合いが進まず不安を抱えている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
遺産分割協議書は、単に「相続人で話し合って決めた内容を書く書類」ではありません。不動産の相続手続、名義変更、さらには将来の税金トラブルを防止するために、法的に正しく・実務的に使える形に整える必要がある重要書類です。名古屋市や愛知県で相談を受ける際も、「インターネットでテンプレートを見つけたが、自分のケースに当てはまるのか不安」という声を多く聞きます。
中編では、遺産分割協議書を作成する際に必要な実務的ポイントを、専門家の視点から詳しく解説します。
遺産分割協議書を作成する前に欠かせないのが、財産の全体像を正確に把握することです。財産目録とは、相続の対象となる財産を一覧にしたもので、以下の3つに分類して調査します。
不動産(自宅・空き家・田畑・山林・駐車場など)
金融資産(預金、証券、生命保険など)
負債(ローン残高や未払い税金)
名古屋市や愛知県の不動産では、次のような“見落とし”が多くあります。
固定資産税の課税明細に記載はあるが、実際にどこにあるのかわからない土地
田畑や農地の一部が分筆されており、地番が複雑になっている
相続したつもりのない土地が「共有名義」で残っている
財産目録をつくる段階で抜け漏れがあると、遺産分割協議書を作成し直す必要があり、手続きが大幅に遅れます。
特に相続登記の義務化で“期限”が生まれた今、財産調査を丁寧に行うことは非常に重要です。
遺産分割協議書に不動産を記載するときは、登記簿(登記事項証明書)に記載された情報を、一字一句そのまま転記することが必要です。
例えば以下のような誤りは、法務局が受理しません。
「所在」を省略して番地のみ記載
「種類(宅地・田・畑など)」を別の言葉に置き換える
地積(面積)の数字を四捨五入してしまう
建物について“種類”“構造”“床面積”の記載が抜けている
特に名古屋市内の住宅地や愛知県内の農地では、地番が似ていたり、複数の筆(区画)に分かれているケースが多く、登記簿の正確な写しが不可欠です。
▼不動産記載のイメージ(協議書内)
相続手続では「相続が発生した当時の住所」ではなく、協議書に署名・押印する時点の住所を書きます。住所が変わっている場合には住民票や附票を取得して、過去の住所のつながりを証明する必要があります。
また、戸籍の表記と現在の氏名に差異がある場合(旧字体・新字体など)も、正確に統一しておくことが大切です。
以下のようなミスは、名古屋市や愛知県の手続で非常に多く見られます。
離婚・再婚で苗字が変わっているのに旧姓で記載
遠方の相続人が引っ越しており、旧住所で記載してしまう
相続人の一部だけ住所表記が異なる
相続分を「なんとなくの割合」ではなく、誰がどの不動産を取得し、その後の管理責任をどのように分担するのかまで明記することが必要です。
例えば、実家を長男が相続する場合、以下のように記載します。
「名古屋市〇〇区の宅地および建物については、長男〇〇が単独で相続する。」
また、空き家や農地など将来トラブルになりやすい財産では、次の点も協議に含めると良いでしょう。
固定資産税の負担者
管理・処分の方針(売却予定・維持管理の可否など)
名義変更後の連絡体制
“管理のルール”が曖昧なままだと、相続後に揉める原因になります。
名古屋市・愛知県の実家を相続する際に多いのが、「相続人が県外に住んでおり、手続きを一度に進められない」というケースです。
この場合、以下の流れが一般的です。
協議内容をメールや電話で確認
遺産分割協議書の原本を郵送
相続人が実印を押し、印鑑証明書を同封して返送
最後に取りまとめて法務局へ提出
このやり取りには時間がかかるため、スケジュール管理が重要です。
相続登記義務化によって期限(3年以内)が設定された現在は、早い段階で段取りを決めることが推奨されます。
最近は「遺産分割協議書 テンプレート」と検索すると多くのPDFやWordファイルが出てきます。しかし、以下の理由からテンプレートの利用には慎重になる必要があります。
自分の家庭の相続人構成に合っていない
不動産の数が多い場合に記載欄が足りない
登記簿の表示と形式が異なり、法務局に補正されてしまう
兄弟全員の押印が必要なのに“代表者のみ”の形式になっている
特に、愛知県の相続では不動産の種類が多様であるため、定型のテンプレートでは対応しきれないことがほとんどです。
遺産分割協議書が完成した後、時間を空けてしまうと次のような問題が発生します。
相続人が転居して再度書類取り直しが必要
印鑑証明書の有効期限が切れる
遺産分割の内容を相続人が忘れ、再確認が必要
固定資産税の納税通知書の宛先が混乱する
そのため、**協議書の完成後は速やかに相続登記まで進める“ワンストップ対応”**が最も安全です。
あいち相続ひろばの相談でも、遺産分割の話し合い→協議書作成→相続登記→売却サポート という流れを一括して依頼されるケースが増えています。
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